1984年(昭和59年)3月8日(木曜日) 毎日新聞

これがベンチャーだ トータル・サービス
汚れる商売は浮き沈み少ない

家庭やオフィス、店舗などの室内、屋外を出張して掃除するハウスクリーニングで創業たった4年、早くも年間売り上げを約5億円にし、傘下に代理店を70店も抱えているのが「トータル・サービス」=山口恭一社長(28)である。
昭和54年秋、23歳の山口恭一は都内のあるレジャー会員権販売会社に勤めていた。セールスマンとしての実績抜群だった山口恭一は数十人の部下を持つ課長で、年収は1000万円を超えていた。そのような時、「何となく、この仕事はむなしい」という思いが山口恭一に生じ、会社をやめた。レジャー会員権販売は毎日々々、新しい客の獲得に明け暮れる。しかも、獲得した客が2枚目、3枚目の会員権を買ってくれる可能性は非常に少ないからだ。
高校の先輩の「汚れる商売は浮き沈みが少ない」というアドバイスで昭和55年1月飲食店やホテル、事務所の窓ガラスやシャッター、看板、じゅうたん、ソファなどを掃除する仕事を、東京都新宿区の高田馬場で始めた。毎日、朝から晩まで、飛び込みで顧客の開拓につとめた。ハウスクリーニングといっても、全く知られていない時。「それじゃ、試しにやってみろよ、汚れが落ちなかったら金は払わないぞ」というところも多かった。だが、山口恭一のがむしゃらさが通じて、お得意さんもどんどん増えていった。
社員も増やし、昭和57年5月には株式会社組織にした。
山口恭一は昭和30年福島県に生まれ、昭和49年、宮城県の仙台一高を卒業した。東大を2度受験したが失敗。「このままではだめになってしまう」と、大学をあきらめ、新聞広告で入ったのが、レジャー会員権販売会社であった。
敬称略=(つづく)

トータル・サービス

▽本社=東京都新宿区西新宿3の3の23,ファミール西新宿603(03・348・6201)
▽資本金=200万円
▽設立=昭和55年1月
▽事業内容=室内外総合出張クリーニング(ハウスクリーニング)、害虫消毒、室内外クリーニング機器販売

「がむしゃらに働いてきた」と社長の山口恭一は語る