トップランナーの1週間

お店へ住まいへ出張掃除
汚れる商売は潰れない
倍々ゲームで成長中

山口恭一(トータル・サービス社長)

■プロフィール 昭和30年7月30日、福島県福島市生まれ。29歳。仙台第一高校卒業後上京、東大受験に2度失敗し、レジャークラブ会員権のセールスマンに。売上げトップ、年収1000万以上だったが「虚しくなって」退社。32歳でハウスクリーニング業『トータル・サービス』を設立、2年後フランチャイズ方式を展開し急成長。現在加盟店約100店、提携企業45社、本社の年商は約5億。社長の年収約1000万円。

酒の席で仕事の話はしない 徹底的に楽しむのだ……

Monday

7:15起床、朝食
8:00中野駅前のマンションからソアラ(電話付)で出勤。夜は飲むことが多いので、近くに住む社員が帰りに使って戻してくれる
8:30オフィス(西新宿)着
9:00週初恒例の販促会議。加盟各店の営業状況のチェック、N.Y.オフィスから入ってくるアメリカの業界情報など。会議の内容はワープロでA3両面の新聞『トータルライフ』に編集し、加盟店に配布する
13:00合同ファイナンス・吉田氏来社
15:00『週刊ダイヤモンド』取材
16:30共同PR、内外企画の人とミーティング
18:00幹部会議
19:00新宿ワシントンホテル『三十三間堂』で社員交歓会。創立時から月に1度続けてきた無礼講の宴会で費用は会社持ち。仕事の話をしないことがルール。平均年齢27歳、14人の社員たちとカミシモを脱いでつきあう場だ。2次会、3次会と流れ、1:00社員3人を連れて帰宅。飲み直し
2:30就寝

Tuesday

7:15起床
8:30出社
10:00『週刊宝石』撮影(サクセスストーリーもの)
14:00丹青社(内装、店舗レイアウトのトップ企業)を訪問、商談(ビル設計段階からハウスクリーニングを委託してもらう)
16:40日本テレビ西本館ロビーで『おしゃべり情報局』取材
18:30赤坂の料亭『川崎』で若手経営者の会合。初めの30分はマジメに情報交換、後は雑談
21:30銀座のクラブ『ピロポ』へ。その後『サードフロア』、歌舞伎町に戻り『ジョイフル』とクラブをハシゴ
1:00帰宅

Wednesday

8:00起床
9:00出社
10:00新宿NSビル会議室にてトーラルライフグループ関東地区総会。50名ほど集まった加盟店経営者に今後の方針、N.Y.情報などの解説。特にジュータンの雑菌やダニまで除去できる新製品「くりーんあっぷレディ」を使ってのジュータンクリーニング、および機材のみのレンタルの新展開方法について細かく説明。その後質疑応答
12:30三井銀行丸の内支店の内田次長来社。三井ファイナンスとのタイアップの件など
13:30三井不動産住宅サービスの方が来社
15:00雑誌『ドリブ』取材
16:30タレントの石立鉄男氏ほかTVCMスタッフと打合せ。終了後、マージャン、六本木のクラブ『キンコンカ』で飲む
2:00帰宅

Thursday

9:30起床
10:00出勤。ニコマート(コンビニエンスストア)本社へ直行
11:00到着。ミーティング
13:00『月刊フランチャイズ』の企画で日本長期信用銀行取締役、経営評論家の日下公人先生と対談。大変勉強になった
16:00『日経流通新聞』取材。記者の人が頻繁にみえて、1〜2か月に1度は記事になっている
18:00ワシントンホテルで青年経済クラブ主催の講演会。今回は岡田茂氏でテーマは「三越のナントカの真相」だったが、疲れていたのでひたすら眠かった
21:00赤坂『川崎』にお呼ばれ
1:30帰宅

Friday

7:45起床
9:00出社
9:30加盟店契約に立会う。日常の実務や加盟相談は社員に任せているが、契約時には、必ず僕が立会い、加盟を希望する方と直にお話しすることにしている
10:00日動火災の方来社。損保代理業務の件
11:00合同ファイナンス・吉田氏来社
13:00『毎日デーリーニュース』取材。先日、毎日新聞に載ったウチの記事を英訳転載したいとのこと
14:30キャットジャパン(通信販売会社)社長で友人の宮下氏をサンシャインビルのオフィスに訪ねる
16:30『日経産業新聞』取材
17:30NSビルで日本マーケティングセンター主催の研修会。テーマは「丸井の成長の秘密、顧客の組織化・固定化」など
19:00二次会。NSビル内の『四川飯店』で食事し、クラブ『パレロワイヤル』やすし屋で飲む
1:30帰宅

Saturday

8:00起床
9:30出社
10:00『東京タイムズ』取材
13:00チェスコム(電話転送サービス)の三浦氏に電話。ニューヨークオフィス開設の件
16:30ワシントンホテルのサウナでひと息
17:00加盟店のための無料講習会。注文取りのノウハウや営業面のアドバイス
19:00“ウィスキーの会”会合。若い経営者4人で作った親睦会でメンバーはフォロニック(学生人材派遣業)の金久保氏、チェスコムの笹野氏、キャットジャパンの宮下氏、と僕。新宿『車屋』の座敷で食事をしながら今度作る草野球チームの相談など。『ラストレー』『嫋(じょう)』『中島』をまわり、最後は『宝寿司』へ。今まで寄ったクラブに片っぱしから電話をかけて女の子を呼びよせたら全部で5人来て、寿司屋がクラブみたいになった。(ちなみに、飲み代はメンバーの持ち回りになっている)
2:00帰宅

Sunday

11:00可愛がっているコッカスパニエルの「静六」と「鶴太郎」に顔をナメられて起こされる。ゆっくり入浴し、食事
13:30家を出て会社へ。加盟店契約が2件ある。契約はお互い時間的余裕がある週末になりがちなので僕は日曜日も半日は会社だ
17:00ワシントンホテルで女房と待合わせ。結婚1年だが、ゆっくり顔を合わせるのは日曜の夜ぐらい。『ホリタン』でヒレのステーキ、エビ、アワビの鉄板焼きを食べる。ワインはボジョレ。もっぱら女房が話し、僕は聞き役。仕事の話は出ない。あんまり亭主の仕事に無関心だと「もう少し心配してくれてもよさそうなものだ」と思うのは男のワガママだろうか
22:00帰宅。次の1週間に備えて早めに就寝

TOP RUNNER’S WEEKLY SCHEDULE
平凡パンチ85年インタビュー

味ではタイミングがよかったし、市場的にはうんと拡大できると考えています。切りのないことは決して口に出さない

——フランチャイジー(加盟店)に対して御社は経営ノウハウを指導し、クリーナー(掃除機)や洗剤等を卸していく。御社の成長の要因には加盟店の順調な成長もあったということですね。

そうです。でもね、ダメな加盟店だって少なくないんです。いくらこちらが手を尽くしてもダメな奴はダメ。中小都市で1人あたり80万〜90万円の売上げを上げる加盟店があるのに、もっと立地に恵まれたところで40万円くらいしか上げられない店もある。すべて、本人次第なんですね。
だから部下にも言うんです。「加盟店が潰れるのは君らのせいじゃない。気にするな」と。「ただし、自分で悔やまないように精一杯のことを相手にしてやれ」とね。

——現在、加盟店が約100店舗。グループのリーダーとして300余名を率いていらっしゃるが、責任の重さはどんなときに…。

いやぁ、加盟店はあくまで独立店ですから私と対等、彼らに対してトップという意識はないですよ。むろん、私がいてそうした組織が生まれたわけですから、苦しむところでは苦しんでいますけど、あまりそういうのを外に出すタイプじゃないしね……楽しんで仕事をしてますよ(笑)。なんといっても、1兆円産業に育つ可能性のあるビジネスに携わっているんですから、その夢をもって進むだけですよ。

——この仕事をしていていちばん楽しいことは?

人との出会いですね。付き合いができる。ニュービジネスのよさはそこでしてね、とても考えられない人とお付き合いができる。

——逆に、辛いことは?

うーん、いろいろあるんですけどね、社員を1人採用するにしても、お金を借りるにしても、これまでを振り返って“よくやれてこれたな”とゾーッとすることもあるし、いまだって同じです。先頭に立って営業から教育までやらなきゃならない。すべて大変だし、すべて辛い。
でも、大変だ、大変だって言い出したら切りないでしょ。私、切りのないことは言っちゃいけないと思うんですよ。それは疲れるばかりですからね。経営に当たっている以上、問題はいくらでも生まれてきます。
でも、そこをプラス発想でね、「よし、じゃあこれでいこう」とトーンを高めていかなきゃ、少しも前に進めない。そう思いますね。

24歳で始めたハウスクリーニング業。年々、業容を拡大してきた理由をきっちり分析してみせたのち、「やっぱり豊かになっているんですよ、日本は」と。
ニュービジネス花盛りの昨今だが、注目されて、すぐ消えていく“泡沫ビジネス”も少なくない。アイデアを事業として確実に根づかせていく長期展望に立った戦略や、それを実践するための人材育成に欠けるものがあるからだろう。そのことは山口恭一氏も承知ずみ。来年は「これまでの急成長にブレーキをかけてでも、人の教育に注力したい」と語る。
有望市場であればあるほど参入企業は増えるが、先発かつ専業としてやってきた強みをどう生かすか——。気負いもてらいもない、前向きな姿勢に注目したい。

(聞き手・本誌 嶋田 眞)

経営者会報
60年12月号