日経流通新聞

<対談>
特殊メンテナンスとアントレプレナーシップ 建物の資産価値守り快適環境を創出

トータルサービス代表取締役
山口恭一氏

外壁・天井・ブラインドを洗浄

長谷川
クリーン・ビジネスだけでも驚くほど範囲が広い。ビルの内装となると、単に事務所ビルだけでなく病院もありますね。

山口恭一
病院は得意な分野です。吸音材の天井にペンキを塗ると吸音効果がなくなってしまいます。また燃えやすくなりますし、有機溶剤は人体に悪影響を与える。当社の導入した「シーリング・マジック」では、吸音材天井にペンキを塗らずに除菌・消臭効果のあるクリーニングで美観を回復できるうえ、吸音効果を損なわないカラーコーティングで色替えができます。
洗剤は汚れを分解するだけでなく、噴きかけた洗剤自体が自然に帰るという生分解性をもっています。

長谷川
噴きかけただけでいいのですか。

山口恭一
そうです。汚れを分解して、最後は水と酸素になります。水は蒸発してしまいます。拭き取りも必要ありません。ですから事務所など夕方から洗浄の仕事を始めても、次の朝には使えるのです。
レイアウトを変えない限りは天井を張り替えなくて済むので、産業廃棄物を減らすという点でも貢献していると思います。

米国環境規制の厳しさをクリア

長谷川
洗うシステムは元の素材がそのまま生きるし、いいと思いますよ。製造業でもクリーンネスの維持は大きな問題になっています。現在ある設備・建物をできるだけクリーンにして使わないと、いろいろな面で差し障りが起こりますね。
スパークル・ウォッシュ事業では、建物だけでなく、橋、運動施設、タンク、そういった建築物全般のクリーンネスということもお考えでしょう?

山口恭一
はい。橋では永代橋とか勝鬨橋とか隅田川に架かっている橋はもう何本も洗いました。運動施設の工事例ではテニスコートなどあります。そのほか、東京ドーム、幕張メッセ、それから東京サミットの直前には赤坂御所の迎賓館の周りや中のテントも……。

長谷川
迎賓館ですか。よくそうした仕事が取れましたね。

山口恭一
総理府から直接いただいたのです。業者がなかったのか、あったとしても速さが問題になったと思うのですね。
「スパークル・ウォッシュ」は、車の中に特許を取得した機械が積み込まれていて、作業が速いのです。迎賓館の場合、車を2台ぐらい配置して、多分1週間かからなかったと思います。

長谷川
そうですか。それはずいぶん能率がいいですね。

山口恭一
それから米国では環境規制が厳しいせいで、こと細かにいろいろなデータが整備されています。洗剤の成分はもちろんですが、残留分についてもこれこれこうだから問題がないとか、廃液はこう処理しているといったデータが完備されていて、いつでも提示できます。それで安心していただけたようです。

長谷川
それは安心しますよ。サミットの場合なんか特にそうです。もし毒物でも発生したら、大ごとですからね。

超音波と洗剤でブラインド洗浄

長谷川
ブラインドのクリーニングというのは面白いですね。

山口恭一
「ブラインド・マジック」は、取り外したブラインドを大型の容器に漬け込んで、超音波と洗剤で洗うのです。ひもまできれいになります。それに速い。洗っている時間は1分くらいです。料金は1本当たり3000円-4000円ですが、アルバイト5-6人と正社員1人で1日100本ぐらいは平気で洗えます。ブラインドだけでなく、照明器具や換気扇など容器に入る物は何でも洗えるのです。
「ブラインド・マジック」のフランチャイズに加盟した人は若い人だけでなく、リタイアした人がやっている例もあります。

FCビジネスで起業家を育成

長谷川
フランチャイズ展開を思いついたのはどういう理由からでしょうか。

山口恭一
人材面と資金面からです。直営展開では、大阪、名古屋、札幌など、その土地をよく知っている責任者をどう見つけるかが難しいのです。それから、事業を同時期に一斉展開するには相当な資金がかかります。それで、フランチャイズ展開ということになりました。

長谷川
サービス業をフランチャイズ展開しているというのは珍しいですね。

山口恭一
私は「フランチャイズのデパート」といった会社を目指したいと考えています。それで経営理念の中にも「アントレプレナー(起業家)」を唱い、社内・外にアントレプレナーおよびアントレプレナー精神をもった人材を育成することを呼びかけております。将来的にはクリーン・ビジネス、環境ビジネスだけでなく別のサービスも考えてはいるのです。

長谷川
フランチャイズに参加する人には米国での最新ビジネス情報を絶えず流しているのですか。

山口恭一
フランチャイジーは最新情報を最初に知る権利があり、最初にチョイス(選択)する権利があります。床を滑りにくくする滑り止め加工とか、風呂場をぱっとカラフルに塗り変えてしまう事業などありますが、そうした私どもが、現在リサーチをかけている最新情報などを絶えず流して有効に活用してもらっています。

長谷川
フランチャイズに加盟を申し込んでからの審査や教育はどうなっていますか?

山口恭一
契約の前に私とオーナーの方が必ず会って話し合うことにしています。そこでオーナーの方のポリシーや考え方をうかがいます。
FC本部の役割はFC同士の情報を交流させていくこと、ノウハウを伝えること、時代を先取りした技術開発・商品開発を続けて提供することだと思っておりますし、それを実行していきます。もちろん、営業・技術の勉強会など、かなりの数を開催します。
また当社には「クレーム・マニュアル」というのがあります。「こういうクレームが発生して、それに対しこういう処理をして、結果としてこうなった」というものです。それを知っておくと、転ばぬ先のつえではないですけれども、結局ノウハウになるのですね。クレームが起こるたびに、クレームの内容だけ同報ファクスで流すのです。どこで発生したかは極力伏せるようにしています。

長谷川
クレーム事例は参考になるでしょうね。
また、これからは自立心旺盛な人がどんどん出てくるでしょうから楽しみでしょうね。

山口恭一
そうですね。年功序列制が崩れて、早めにリタイアして、自分の好きな商売をやりたいという時代になりつつあります。
またこれからは若い人の間にも、当社の事業に参加したいという人が増えてくるでしょう。オーナーは別ですが、担当責任者は20代が多いです。外国製のバンがカッコいいとか、変な先輩がいないとかで、募集すると若い人が集まります。
定年まで宮仕えしないで独立する人、自立心の旺盛な若い人—そういう人たちがこれからの日本で大きなパワーになっていくのではないかと思います。

長谷川
そういうことです。そうなると思います。こうした事業はこれから非常に伸びると思いますよ。

トータルサービスでは、(財)建設物価調査会「建設投資30年の歩みと建築物ストックの推計」を基に、それぞれの市場性を次のように見ている。
「スパークル・ウォッシュ」の潜在マーケットとしては、過去30年間に建てられた非木造・非住宅、つまり事務所、店舗、工場などのビル関係で約2500億円、道路、大型車両、住宅などが約2000億円、合計で約4500億円。
「シーリング・マジック」については天井部分で2700億円。内壁を合わせるとそれ以上の規模になると見る。
また「ブラインド・マジック」はブラインドが1800億円、換気扇が730億円で、合計約2530億円。これにダクト、空調フィルター、照明カバーなどが加わるため、さらに大きなマーケットになると考えている。

企画・制作
日本経済新聞社広告局

サービスFCの発展に期待

経済評論家 長谷川慶太郎

個性重んじる若者が流れつくる

ビジネスにはあちらにもこちらにも「穴」(ニッチ)があいている。その穴を埋めるのに、どういう埋め方をするのがいいのか——。それについて確立したノウハウやシステム、理論はない。手探り状態にあるといえる。そういう意味で、進んでいる米国のノウハウ、あるいは経験をベースにして、その穴を少しずつ埋めていくということは有効だ。
ただし、米国で生まれ育った仕事だからといって、それをそのまま直輸入すると、障害が起こることがある。フランチャイズはゆっくり慌てず、少しずつ定着させていくことが肝心であろう。
ところで、私はサービス業のフランチャイズはこれから非常に伸びる性格を備えていると思う。中でもとくに「新人類」など若い人たちに期待を寄せている。
サービス業のフランチャイズは当初比較的わずかな資金で始められるものから、かなりの資金を必要とするけれど効率が格段にいいものなどいろいろな種類がある。その中から自分に最も適したもの、やれそうなものを選ぶことができる。
旧人類の多くは選択肢が多いとなかなか決められないところがある。「最終的な責任を自分で取らなければいけない」という認識が米国などに比べて足りない感じがする。ということで結局、人まかせになる。
この点、新人類は違う。新人類とはテレビ出現後に生まれた人たちを言う。彼らはテレビとともに育っており、最初に覚える言葉はコマーシャル、最初に覚える歌はコマーシャルソングだ。その意味で米国と同じような環境の中にある。
新人類は積極性があるし、自分の個性を重んじる。彼らには選択肢が多い方がいい。自分に一番適したもの、やれそうなものを選べる方がいい。このため新人類が多くなれば従来の日本人とは違った展開が期待できる。
これからは新人類が日本の社会の大多数を占めていく。フランチャイズ制は、おそらく新人類の時代に向かってもっともっと発展すると思う。
(談)