広報特集 FC企業研究

米国特殊メンテナンス技術の導入で急成長する(株)トータルサービス

1989年、アメリカからクリーン・ビジネスの最新技術を次々と導入、新規事業展開を始めてからわずか6年。それまで日本には、その概念すらなかった「特殊メンテナンス業」というニュービジネスを成功させ、FC界の話題をさらっている。同社の掲げる「アントレプレナーおよびアントレプレナー精神をもった人材の育成」と「ニューマーケットの創造」という経営理念が多くの人々の心をしっかりととらえているのだ。

上に掲げたのが、このビジネスの創業者山口恭一社長の名刺である。表面には、世界唯一の移動型洗浄ユニットを搭載したフォード車。企業の顔だ。そして裏面に、外装保全事業「スパークル・ウォッシュ」(FC)、吸音材天井・内壁メンテナンス「シーリング・マジック」(FC)、超音波ブラインド洗浄「ブラインド・マジック」(FC)、金属再生保全「メタル・メンテナンス」(直営)という代表的な4つの事業展開が刷り込まれ、ひと目でわかるようになっている。なんという合理性、なんという積極さ、まさにアントレプレナー精神のシンボルでありニューマーケット創造にかける熱い思いがひしひしと伝わってくる。
トータルサービスが行う事業の基本コンセプトは、特殊メンテナンスにより建物の資産価値を守りスクラップ&ビルドを否定する社会性を大切にする点にある。
では、そのコンセプトが、それぞれの事業にどう具現化されているのか。見てみよう。
「スパークル・ウォッシュ」は、1989年米国の業界最大手、スパークル・インターナショナル社(オハイオ州)との業務提携により導入・展開している外装保全事業で、建物の外装を洗浄するとともに外装材の耐久性と美観の維持を目的としたコーティング塗装も同時に行うもの。これにより建物の劣化を防ぎ寿命をぐんと伸ばしていくことができる。洗浄は中和洗浄方式で外装材や環境にダメージを与えない画期的なシステムだ。コーティング剤を含めたケミカルは素材に応じた80種類以上のものを持っているため、建物だけでなく道路、トンネル、橋、工場の床から機械までマーケットはきわめて大きい。
「メタル・メンテナンス」は、金属の再生・修復・保全の米国No.1企業スチュワート・ディーン社(ニューヨーク州、「自由の女神」「ロックフェラーセンター」の施工で有名)と提携。アルミやステンレスなどあらゆる金属の塗膜劣化、酸化腐食、キズを修復・保全する。この事業の導入で、スパークル・ウォッシュの需要がますます高まった。
「シーリング・マジック」は、クーステック・グロー・インターナショナル社(ミネソタ州)との提携で導入した天井・内壁のメンテナンスだ。クリーニングはパワージェットの噴霧でシミ・汚れを分子レベルに分解し、人体に無害な蒸気として分散させる。その上除菌・消臭効果を合わせもつ。またカラーコーティングは、吸音材天井の吸音・燃焼遅延効果を維持したままカラーリングできるという他にない特長をもつ。ペンキに比べ軽量なため天井材への負担が少なく、貼り替えまでのサイクルが格別に延びる。
「ブラインド・マジック」は、ウルトラソニック・パワー・コーポレーション社(イリノイ州)と業務提携。超音波と温水・特殊洗剤の力によってブラインドの汚れをスピーディに落とす。移動可能な2層式タンク洗浄のために、その場での洗浄が可能になった。ブラインドなら1日100本、換気扇は300枚が処理できる。そして今年、5番目の事業となるバスルームの再生・コーティングの「バスタブドクター」と、6番目の特殊なコーティング剤をはじめとする最新機能をもつ商品販売という2つの新規事業がスタートする。
以上6つの事業共、自立心が強く、アントレプレナー精神に富んだ人にふさわしい、エキサイティングなビジネスだといえよう。いま、この会社から目が離せない。

トータルサービスに期待する

(株)野田国際経営研究所 代表
野田由紀子

ある雑誌の取材がご縁でお付き合いをさせていただくようになってまだ1年だが、山口恭一社長は私が最も注目し、気になる経営者のお一人である。なぜなら、“情報”に対してどん欲であり、ニュービジネスへの好奇心がきわめて旺盛だからである。
今年の売上高はグループ全体で50億円、うち本部の売上高が10億円を突破したという。その成長の秘訣は、そのとき一番ホットなビジネスを導入し、常にビジネスを活性化させていることだと思う。ここまで社会的な信頼が高まれば、やがて株式の店頭公開もスケジュールに上がるだろう。
いま展開している1つひとつのビジネスは有望で魅力的だが、もう1つ大きな核となるものを、これから持たれる時期なのかな、という気がする。これまでに培ったノウハウと収益で、すでにそういうストックができていると思う。(談)

NIKKEI VENTURE 1995.7

山口恭一
アメリカからクリーン・ビジネスの最新技術を次々と導入。国内特殊メンテナンスのパイオニアとしてFC展開し、「アントレプレナーの育成」と「ニューマーケットの創造」を理想としてニュービジネスに挑戦、“FCの百貨店”を目指す。

展が多かった。それも単に安い、簡単といったものではなく、重厚さやクラシックな雰囲気を特長にしているものがふえています。相変わらず健康、環境関連、スモールビジネス支援のビジネスも目立つ。電子メールや秘書代行といったサービスから1歩進んで、パソコンを電話回線とつないで少部数の提案書を翌朝までに制作・印刷するサービスがあったが、これなんかおもしろかった。

野田
アメリカでは在宅勤務が加速していますから、支援ビジネスはますます盛んになるでしょうね。

山口恭一
しかし、なんといっても大きな潮流は、技術サービスを中心とした無店舗型FCの増加でしょう。
私は店舗型と無店舗型の違いは、店に客が来るか来ないか、客を呼ぶか呼ばないかで区別しています。だから宅配ピザのFCでも、店に客を呼んで食べさせなければ無店舗型と変わらない。しかし代表的なものと言えば、やはりクリーン・ビジネスです。

野田
こちらから出向いてサービスをするわけですから、メンテナンス関係は全部そう。在宅医療など医療分野でのサービスにもふえていますね。

山口恭一
会計士、税理士も当然無店舗型。クリーン・ビジネスは環境という位置づけですから、ダクトの中から下水道、カーペットの色替えに至るまで、分野がものすごく広い。

野田
最近、家具や備品の汚れ、傷を補修するFCが驚異的に伸びていますね。環境ということになれば、ハウスクリーニングとは異なった、空気の浄化や廃油の処理といった分野もこれからのマーケットでしょう。

山口恭一
自動車に関する無店舗型FCも多いですよ。オイル交換の出張サービスなどが伸びていると言っていました。日本では規制があってむずかしいらしいけれど。

アメリカでビジネスになっているものは、必ず日本でも成功する

山口恭一
無店舗型でサービスを提供するFCは、これから日本にどんどん入ってきますよ。理由は、まず小資本で開業できること。店舗のリニューアルといった経費がかからないこと。在庫を持つ必要がないこと。リニューアルするともなれば、5年分、7年分の儲けを吐き出さなければなりません。また店舗でモノを売る場合、常に在庫を持つ必要がありますから、コンビニに代表されるように大手企業がそれなりにネットワークを作ってやっていき、小資本ではとても太刀打ちできない。

野田
日本は特に土地が高いですからね。

山口恭一
開業資金が少なくてすむということは、ペイラインも低くてすむ。つまり、それほど大きな売上げがなくても、それなりの利益がとれるわけで、無店舗型が伸びてくるのは当然ですよ。

野田
山口恭一社長がアメリカから導入した外壁、天井・内壁、ブラインドなどをクリーニング&コーティングする特殊メンテナンスFCは、そうした傾向にぴったり符合していますね。狙いをしぼって、アメリカのマーケットを徹底的に研究されたわけですか?

山口恭一
ところが、それが全くないんですよ。「汚れる仕事はすたれない」と先輩からアドバイスを受け、最初から環境ビジネス、クリーン・ビジネスをやろうと決めていましたから。FCならなんでもいいというわけではなかったのです。
しかし調べれば調べるほどアメリカに日本が類似している、アメリカの後を追っているのがわかってくるんですよ。外食もビデオレンタルも、ディズニーランドへ行ってコンビニで買い物して、宅配ピザを食べて。だからアメリカで大きな市場になっているクリーン・ビジネスは必ず日本でも成り立つという確信があったのです。食べ物は文化があるのでむずかしいところもある。しかし、クリーン・ビジネスは文化を超越したところにあるから、マーケットサイズの差こそあれ、必ずニーズはある、と。

野田
まさに先見の明ですね。現在は主にオフィス中心のビジネスですが、山口恭一社長の論法でいくと、これからは自動車やハウスクリーニングの分野が有望になってくる…。

山口恭一
そうですね。最初にオフィスを狙ったのは、個人の住宅よりそちらのほうが経費としてお金を出しやすいという理由だけです。マーケットサイズは個人のほうが大きい。

野田
アメリカでもハウスクリーニングにはモーリーメイド社とかメイドブリッツ社といった大手がありフランチャイジーを1,000近く持っています。そういったところは定番になっていますが、その中から家具の修繕専門とか、カーペットの除臭、色の塗り替え専門といったものが出てきて、それぞれ2〜300のフランチャイジーを持つFCに育っています。アメリカでは、自分の自由な時間を確保するためには家事労働は合理化すべきもの、という意識が徹底していて、マーケットは日本より20年ほど進んでいると思いますね。

「FC加盟は先手必勝が魅力」と山口恭一さん。

NIKKEI VENTURE 1995.7