「オーナー」経営者と管理職への情報提供誌 OWNER 2000 October Vol.112

経営理念は「人づくり」
目指すはフランチャイズのデパートメントストア

東大へ行った友人たちが将来のビジョンを語り始めたとき、浪人中の自分には何もないことに気がついた。これから大学へ入ってサラリーマンになっても、同世代には後塵を拝してしまう。どうしたらいいか悩んで出した結論が、一国一城の主。すなわち経営者の道だった。山口恭一さんが、起業家を目指したのは弱冠20歳のとき。技術系ではない自分ができるのは営業力を養うことだと、まずレジャー会員権のセールスを始め、1年で年収1千万円以上のトップセールスマンに。アテはなかったが、25歳で独立。やがて「汚れる商売は廃れない」にヒントを得て今日を築いたのは、よく知られたエピソードだ。

目標を持つことが、大きなバネになる

山口恭一さんが学生2人をスタッフに、店舗の出張クリーニング業「山口商会(のちのトータルサービス)」を旗揚げしてから、今年で20年になる。その間、アメリカのクリーンビジネスをリサーチし、次々にライセンス契約をしてフランチャイズ展開をしてきた。現在では直営工事のほかに外壁洗浄&コーティング事業の「スパークル・ウォッシュ」はじめ、吸音材天井カラーコーティング事業「シーリング・マジック」、バスルーム等のカラーコーティング事業「バスタブドクター」、車輌内外装の修復・再生事業「トータルリペア」、車輌外装3年間ノーワックス加工事業「ネバーワックス36」、超音波ブラインド洗浄事業「ブラインド・マジック」、ハウスクリーニング、ウッドクリーニングなど、FC加盟店は400を数え、売上高も60億円を超えている。
「成功はまだまだ。これからだと思っています。今、会社が伸びているのは目標がきちんとできたからだと思います。創業のころは無我夢中で、とにかくやらなくては、と1年のうち364日働いていました。当時は翌月分の給料を稼ぐことが目標でしたが、だんだんゆとりが出てきて、勉強会に行ったり、先輩経営者の話を聞いたりしているうちに、会社には経営理念や中長期ビジョンが必要だということが分かったのです」
どのような会社を作りたいか、さらに具体的にはどういう仕事をするか。それらが言葉として表せるようになったのは、ここ10年くらい。伸びていく企業には、社風なり、独自のカラーがある。その良しあしは別として、それらを共有することで、会社のランクアップがのぞめるというのだ。ちなみに、トータルサービスの経営理念は「人づくり」。社訓の1番目には「自立心と自律心の実行」が掲げてある。「自立というのは、自ら目標を立てられる人です。自律は決断ができる人。社内に自分で目標を立て、決断ができる人が増えると、業績が向上すると思います」
社訓には「現状肯定プラス発想」もある。現状は肯定しつつもそこから改善案を編み出す人が増えていけば、会社はさらに大きく発展するに違いない。それが山口恭一さんのつくりたい“人”なのだ。