NIKKEI VENTURE 1999.5

経営指南 広報活動

マスコミが記事に取り上げてくれない
事業に役立たないので縮小したい(家庭用品メーカー)

PR活動は大切だと思い、力を入れている。
しかし、なかなかマスコミが取り上げてくれない。
事業活動に全く役立っていないという声も社内にある。

回答者:トータルサービス社長 山口恭一

PR活動と聞くと、新聞やテレビなどに、会社や商品を取り上げてもらうことを考えがちです。しかし、マスコミに記事やニュースとして採用されることは容易ではありません。
PR活動の本来の目的は、ライバル社よりも貴社のほうに好感を抱いてもらうことです。そこでは、消費者だけではなく、会社を取り巻く様々な利害関係者、すなわち金融機関や取引先にも好意を持ってもらうことが大切になります。
例えば、金融機関から同業他社より有利な条件で融資を受ける、取引先からお客様を紹介してもらう、といった効用が考えられます。そのためには、自社の情報をきちんと開示し、金融機関や取引先に理解を深めてもらうことで、信用力を高める努力が欠かせません。
当社では、「よくわかるトータルサービス」という小冊子をつくり、年に1回、取引銀行の支店長と担当者に配っています。当社の取扱商品や組織図、主要顧客、さらに決算書や業績見通しといった数字面にまで踏み込んだ内容を掲載しています。小冊子以外にも、大きな物件を受注した時、逐次ファクスで報告するよう努めています。
経営者はしばしば、「保有している資産や、現在の業績だけを見ないで、様々な角度から会社を見てほしい」と銀行に不満を言います。しかし、その判断材料を提示できていないのが現実です。まず、そうした姿勢を改める必要があります。
うちでは取引先にも、同様の小冊子を渡しています。ただし、銀行向けとは異なり、数字に関する部分は抜いています。
このほか、見落とされがちなのが、社員の家族へのPR活動です。事業活動に役立たないと思われるかもしれませんが、家族の理解があると、社員は働きやすくなるものです。例えば、残業で遅く帰宅しても、奥さんの態度は変わってくるはずです。
特に、幹部社員の家族には積極的にPRすべきです。新入社員や女性社員は家族に会社の話をしますが、幹部社員が話すことはありません。それどころか、会社や仕事のせいにして、家族サービスを放棄しているのが実情です。これでは家族から理解されません。
当社では、会社の歴史やマスコミに掲載された記事のコピーを社員の家に送っていますが、今後は幹部の家族を招待した食事会を開く計画です。

1999年(平成11年)11月20日(土曜日)
日経流通新聞

消費者・ニューサービス挑む21
出張専門のインテリア修復

トータルサービス社長
山口 恭一さん

潜在需要にらみFC展開

全国でも珍しいインテリアの修復出張サービスを行うトータルサービス(東京・新宿)が、11月からフランチャイズ展開に乗り出す。
山口恭一社長は、3年間で150店、最終的に300店の加入を目標に掲げ、「出張サービスというフットワークの良さを武器に、全国制覇を目指す」と鼻息も荒い。
加入者は5日間のトレーニングと最低10日間の実習を経て、開業に至る。担当エリアで独自に営業するほか本部に入った注文を最寄りの地域のフランチャイズチェーン(FC)が請け負う仕組み。
修復の対象商品はソファやいすで、皮革、布、プラスチック素材などあらゆる素材に対応し、破れや穴あき、色あせの修復を行う。タバコの火で穴の開いた皮張りのソファも、穴を樹脂で詰め周囲の皮のしわを再現して水性塗料を吹きつけ、15分ほどで完了。部分修復のため、価格はビニール製なら2800円から、皮革製でも9800円から、と安さも実現できた。
「修復しながら愛着を持って長く使う今の時代にマッチしている」と山口恭一社長は話し、「消費者の潜在的なニーズは高い」と、同サービスの将来性に強い自信をのぞかせている。

【やまぐち・きょういち】
55年、福島県生まれ、44歳。25歳で出張クリーニングサービスの「山口商会」を設立。2年後、現社名に変更し社長に就任する。