月刊経営塾 GEKKAN KEIEIJUKU 臨時増刊

契約交渉がうまく進まず困っている(雑貨卸社長)

取引契約などを結ぶ際、いつも納得いかない条件でサインしている。少しでも自社に有利な数字でと思うが、肩に力ばかり入って交渉がうまく進まないのだが…。

回答者
トータルサービス社長
山口恭一

ビジネスに限らず交渉は人間同士が同席して行うので、まず交渉相手となごやかな雰囲気をつくることから始めなければなりません。それには、双方のバックグラウンドを明らかにすることです。
例えば、どういう理念を持ち会社を発展させてきたのか、また、出身地や趣味など、交渉する者の人となりが相手にわかるように説明します。
交渉には本来、「双方が提示する条件が合わない。だから、話し合うことで歩み寄りましょう」という暗黙の前提があります。ですから、相手の立場を理解しつつ、逆に相手には自分の立場を理解させて、話を進めることが大切です。
当社では、日本でフランチャイズ事業を展開するため、米国の企業と契約交渉する機会が少なくありません。その際、いかに相手に自分の立場になってもらうかに主眼を置いています。
米国企業は、当社が日本で事業展開するための権利金を提示します。多くの場合、こちらが受け入れることができる額より高い金額です。相手に「いま、儲けたいのか、あるいは、将来にわたって儲けたいのか」と質問します。当然、答えは後者です。それならばと、広告宣伝費など、米国と比べて日本でビジネスを始める際、いかに負担が大きいかを説明するのです。
相手は、少しずつこちらの立場を理解してくれます。そこで、「どうしてもこの事業をやりたい。権利金を下げてくれれば、事業を成功させるために必要な資金が生まれ、利益が出て、貴社にとってもメリットになる」と譲歩を求めるのです。
交渉する際、相手が強いのか、こちらが強いのかによってやり方は当然変わります。こちらが弱ければ、相手に条件を出させて、それをベースに誠意を尽くしながら、謙虚にこちらの立場を理解してもらうように努めることです。
逆にこちらの立場が強ければ、相手に条件を提示させ、「すべて飲めない」と一旦相手に戻します。相手の心理を読んだうえで、提示された条件から「これとこれは譲歩する」と少し歩み寄るのです。こうした交渉をすることで、相手も納得し、よりよい条件で契約を結ぶことができます。
(談)

NIKKEI VENTURE 1998.11