企業家のための経営情報誌 NIKKEI VENTURE 日経ベンチャー 1998.11

人脈を広げるにはどうすればいいか(精密機器メーカー社長)

事業を拡大するための知恵を借りようと、県や市の商工会や異業種交流会に参加して人脈を広げる努力をしている。しかし、「飲み会」に終始して、一向に参考になる話が聞けない。どうすれば本音が聞けるような人脈を築けるか。

回答者
トータルサービス社長
山口恭一

きつい言い方かもしれませんが、取引先など、すぐビジネスに直結する人以外には、見返りを求めないことです。たとえ、本音を語れるような親しい間柄になったとしても、見返りを求めていては目的が達成されたら、もうその人には興味を持たなくなるからです。相手に見返りを求めないことが、長期的には良い人脈を築くことにつながります。
同郷、同窓、同業の人との関係を築くことは人脈とは言わない——。これが私の持論です。
同郷の人は、同じ発想や着想にとらわれがちです。また、ビジネスにおいても、相手の成功を素直に誉めません。むしろ、足の引っ張り合いに陥ります。同窓の人は、何回会っても子供の頃の話に終始し、現状については触れたがりません。また、同業者ならば本音の話をしようとはしません。なぜなら、儲かる話があれば、黙っていち早く自社でやってしまうからです。
とはいえ、会社にとって重要な情報は、人脈から入ってくることは確かです。同郷、同窓、同業者以外の人と、仕事抜きの関係を築くことです。
先ほども話したように、目先の利益を追うような人との付き合いは長続きしません。気の合う人、謙虚に話を聞ける人、一緒に話をしていて楽しい人と親しくなることから始めるのがいいでしょう。
チャンスはいくらでもあります。例えば、県や市内で行われる商工会。同業者や同郷者が集まっていても、その中で話をしていて楽しい人を見つけるのです。そういう人は、同業者や同郷者以外に幅広い人脈を持っているものです。その人と親しくなることで、その人脈と知り合う機会ができるはずです。
少しでも親しくなった人には行動を起こすことです。「趣向を凝らした店がオープンしたのですが、一緒に見に行きませんか」とか「今度、そちらの工場を見学させてもらえませんか」など、こちらから相手と親しくなりたいという熱意を伝えることです。
人脈を築ける機会があれば、時間や交通費を惜しんではいけません。気に入った人と積極的に付き合っていけば、自然と人脈は広がるものです。
(談)

NIKKEI VENTURE 1998.9