企業家のための経営情報誌 NIKKEI VENTURE 日経ベンチャー 1998.6

This Month Entre 今月の求む経営者

(株)トータルサービス 代表取締役
山口恭一(43歳)
Kyoichi Yamaguchi

「この商売をしたい」では駄目
「経営者を目指す意欲」
これが一番大切です

トータルサービスを育てた山口恭一氏が最初に会社を起こしたのは1980年、25歳のとき。しかし、やりたいことのために会社を作ったわけではなく、経営者になるために会社を作ったのだ。そのために営業型の経営者を選択した。
「独立する前、営業系の会社で5年間働きました。そこで学んだのはモノを売る方法、売らせる方法です。稼ぎはあったけれども、使う方も派手だったので(笑)、独立したときはお金もない、場所もない、人もいないという状態。そこで思いついたのが出張のインテリアクリーニングの領域だったんです。「汚れる商売はすたれない」というある先輩からの言葉にヒントを得たんです。しかもクリーニングの仕事は確実にリピートがあります。最初のうちは朝4時起き、学生アルバイトふたりと一緒に1日13〜14時間は働きました。休んだのも1年で1日だけだったと思います」
その努力が実り、86年にフランチャイズシステムを取り入れた後は、さらに急成長を遂げ、日本のハウスクリーニング専業FCとしてトップクラスの企業に成長した。しかし、山口恭一氏はそれだけで満足したわけではない。先輩に「フランチャイズ・ビジネスシステムのルーツを知ったほうがいい」とアドバイスされると、さっそくアメリカへ飛んだ。そこで見たものは、多彩なクリーニングビジネスが成立している世界であった。米国外壁洗浄業界の雄であるスパークル・インターナショナル社とのライセンス契約も、この渡米をきっかけに結ばれたものだ。
「感動したのは、小さな会社を経営する日本の若者を、きちんと認めてくれたということです。これがアメリカの良さなんだな、と実感しましたね」
その後も山口恭一氏はアメリカに向けてアンテナを張り、これぞと思われるビジネスを導入してきた。ビルの外壁洗浄とコーティングを行うスパークル・ウォッシュをはじめ、環境にも配慮したクリーニング・リペア・リフォームメニューの数々が売り物。今後も多角化を目指している。
「導入を決める基準は3つあります。1つは大企業に食われないもの。資本力と無関係な分野ということですね。2つ目は10〜20年存続するサービスであること。この点クリーニング事業は有望です。3つ目は自己の体力に合うものであること。これまでライセンス契約を結んだものはすべてこの基準に当てはまるんです」
応募してくるFC希望者とはすべて契約するという山口恭一氏。しかし対等の経営者として接する以上、事業を真剣にやるかどうかは厳しく問うていく。
「とにかく経営をしたいという気持ちが大切。「この商売をやりたいから」では駄目ですね。だって商売は時代と共に変わっていくものだから。新しい事業を、経営者としてやる気のある人だけが成功するんです」

●Profile
やまぐち・きょういち。1954年、福島県生まれ。県内有数の進学校に進むが、東大受験を志し、2浪。すでに進学した仲間たちとの差を感じ、「就職する同級生の先を行くためには経営者になるしかない」と決意。やがて25歳で起業(山口商会)。今のモットーは「自ら良い師を求めて学ぶこと」。これぞ、と思う人には、ジャンルを問わず自分から会いに出かけ教わることにしている。「机の上で“勉強”するより、学ぶことですよ」と言う。

アントレ情報
本気で経営者を目指したい優秀な人材を求めています
提案概要
トータルサービスは意欲のある人材にはいつでも門戸を開いている。山口恭一氏の目標は「自分より優秀な社員を育てていくこと」。入社後はスペシャリストとして力をつけ独立を目指すもよし、部門経営者となるもよし。完全な部門別採算性をとっているので、部門長はまさに経営者。「給与の額も自分で決めてもらいます」とのこと。