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トータルサービスのアフターマーケット戦略

外装保全業の最大手、トータルサービス(本社:東京・新宿区、山口恭一社長)が米国方式による車両内外装の修復事業「トータルリペア」を日本で初めて導入し、全国でFC展開を進めている。

安く、早く、出張・手軽の米国スタイルを導入

米国では現在、ビル・住宅関連でのリフォームだけでなく、車両のメンテナンスやリペアについても合理的な考え方が進んでいる。これまでの板金塗装技術だけにたよることのない消費者ニーズにあった技術が多種多様に生み出されている。
同社が今回導入しフランチャイズ(FC)展開しつつあるトータルリペアは、その米国生まれの“安く”“早く”“出張で手軽に”に車両の内外装のリペア(修復)をおこなう複合ビジネスで、米国カー・リペア業界の最新企業、レッドライン・レストレーション社(本社:ミネソタ州ミネアポリス、ピーター・J・ファースト社長)との兼務提携によるものである。

このトータルリペア事業は、
(1)デントリペア:ボディの凹みを10分7000円から補修する事業
(2)エクステリアリペア:ボディ・バンパーのキズ・塗装のはがれを5分1500円から修復する事業
(3)インテリアリペア:車両の内装、家具などを10分5000円から修復・カラーリングする事業
の3つのビジネスから成り立っていて、このうち単独でも、2種、3種の組み合わせでも展開できるのが第1の特徴になっている。

これらの事業については米国ではすでに、中古車業界を中心に広く普及している。しかし米国では、3種ではなく個別の事業展開が多く、これら3つの事業をトータル的に展開しているケースはきわめて少ない。一方で、競合他社との差別化のために複合展開している企業は急成長を実現している。
このため同社のように、3つの事業を複合で展開できるシステムを導入するのは日本では初めての試み。もっとも、参入しやすくするためにいずれか個別事業のみのFC加盟も可能としているところが第2の特長。

3つのリペアで年間1000億円の潜在市場を狙う

わが国における車両の維持・修復については、現在の技術では板金塗装業者に依頼するしかなく、ちょっとした凹み、キズ、シートの破れなどでも3〜5万円以上の高コストでしかも、車両を工場に持ち込まなければならないといった手間もかかる。日数的にも少なくとも3〜4日間以上を要すというデメリットがある。
トータルリペア事業は、このデメリットを「安く」「早く」「出張で手軽」にで解決しようというもの。によって、「高い」「手間がかかる」理由で見逃してきたユーザーからの受注を見込め、従来の市場を含めた潜在市場の開拓が可能だ。
わが国は現在、約6700万台の総保有台数の中で、中古車ディーラーの年間の売上高は約3兆円規模。同社は、その1%が車両の補修代金に当てられるとすると約300億円、また、自動車整備業のそれも約3兆円で、かつその3%程度が補修需要だとすると、約1000億円の潜在市場があると想定している。
トータルリペアのそれぞれの具体的内容を見てみよう。
デントリペアは、デント(車のボディーにできた小さな凹み)の状態に応じて、特殊なツールを使い分けながら、デントを裏側から押し戻して修復するという新しい手法を用いる。塗装手段を使わないため、色合わせの悩みがなく、出張して修復することも可能だ。

エクステリアリペアは、ボディショップ(板金塗装業者)で修理すると多大な費用のかかる車体塗装面の小さなキズを補修する技術。補修の仕上げ内容は以下の4種類がある。
(1)ブレンド仕上げ:
バンパーや車体についた「小さなこすりキズ」などに対して、キズとそのまわりを再塗装して補修する方法。元の塗装と色の差が出ないように境界線をブレンド(ぼかし)して補修することで、キズがあったことを全く分からないようにする。
(2)スクラッチバッフィング仕上げ:
車のドアノブのまわりに「キーホルダーなどでつけてしまったキズ」や犬・猫の爪痕のようなごく浅い傷を研磨剤を使って、ごく薄く削り、目立たなくする仕上げ方法。
(3)タッチアップ仕上げ:
車のバンパーやボンネットに小石が当たってしまったり、ドアの縁をどこかに当ててできてしまった「塗装のカケ」や「ごく小さな引っかきキズ」を目立たなくするために、そのキズの中に同じ色の塗装をスプレーして仕上げる方法。
(4)割れ補修:
樹脂製の「バンパーの小さな割れ」を部品を交換することなく補修を可能とする技術。なお、補修可能な割れは素材に変形がなく、割れ目の拡がっていない、段差3mm程度のもの。
それぞれの仕上げ方法は、キズおよびその仕上げ方法・時間・価格などのユーザーニーズに合わせて提案できる。

インテリアリペアはレザーやプラスチックの車両内装の各部分や、レザー・布張りの家具の傷みや破れをさまざまな技術を用いて修復・カラーリングする技術。これによってこれまで、取り替え、張り替えの方法しかなかった車両の内装や本皮のソファーなどの家具も、早く、安く、出張可能で手軽に修復することを可能とする。
対象は、車両がシート、カーペット、ダッシュボード、ドア内張り、天井張りなど。家具では椅子、ソファー、カーペット、壁クロス、パーテーションなど。

山口恭一・社長に聞く——
競合を想定した強いFC作る

山口恭一氏のプロフィール●
1955年、福島県生まれ。上京後、営業タイプの経営者を志し、営業マンの世界へ。トップセールスの後、80年「汚れる商売はすたれない」を信念に、店舗中心のインテリアクリーニング業「山口商会」を創業、82年に「(株)トータルサービス」に改組、現在に至る。家族は夫人、子供2人(6、3歳)。

法人登録制度のねらいは何か——
商圏を守ってあげるのはフランチャイズの原点です。同じマークで競合することはさせない。Aという中古車ディーラーを開拓したBというFCの方がAに出入りしていたら、他のFは行ってはいけないよということです。ただし、Aから仕事をもらっていればが条件で、登録だけして4カ月も5カ月もゼロであればこれは逆に廃棄になる。

競争原理も働かせた商圏ということか——
基本的にはエリアになるが、あくまでお客(取り引き先)でくくるということです。お客(法人)を頑張って開拓するのならどこへ行っても構わない。地図上のエリアだけで保証されるなんてのはナンセンス。動いた人が勝ちということです。他のFCではあまり見られない特徴でしょうねえ。アメリカのFCというものをよく勉強すればそうなるんですよ。

異業種からクルマ業界に打って出るという形だが——
クルマの部品を売ろうとか何とか、この業界の人から文句を言われそうな仕事はやらない(笑)。だからクルマ業界に〓ったつもりは毛頭ない。再生という定義だけでやってるだけで、コンビニエンスリペアですからね。

トータル・リペアの一番の売り物というと——
総合的だということでしょう。値段をパッケージして、安くて早くて、いろんなことをやってもらえるということ。例えばこの先、ルームクリーニングだけやるとか、デントだけやるとかいったところが出てくるだろうが、当社の場合、そういうところをターゲットにして、つまり最初から競合を想定して、総合的に商品で包み込んでいくFCだということです。

すると、事業項目は今の3つ以外にも色々考えている——
最低でも、ルームクリーニング、ウィンドリペア、外側のコーティング、ウィンドフィルムは増やしていく対象になる。人を増やす必要はない。種類を増やす。すると稼働率が上がってかせげる。簡単な理屈ですよ。しょせん時給いくらの仕事ですから。

さらに将来の事業展開をどう描いているか——
私が50歳になるまで(現在41歳)にFC1000店ぐらい、直営で売上げ15億円、FCの売りで5〜6億円、サポートで16億円、全体で30億円ぐらいにまで出来れば店頭公開、できなければ分社化します。ゼロからそこまでデカくするのは私の仕事。そこからデカくするのがうまい人っていますからね。私自身はそのあとFC専門のベンチャーキャピタリストになりますよ。子供がまだ小さいこともあるけれど、血縁者に継がせる気はまったくない。親が子供を生み続けて人間社会があるのと同じで、事業を継承するのが経営者の最大の仕事ですから。そのために公開か分社化を考えているわけです。