日刊工業新聞 1995年(平成7年)7.15 土曜日

創業烈伝 わが社の軌跡

トータルサービス社長
山口 恭一氏

「社長になる!」20歳の決意

「同級生が皆、有名大学に入ってね。くやしいし、彼らと比べられたくない。だから何がなんでも社長になろうと思った。それには創業するしかない」
山口恭一氏の原点は、福島から出てきて苦労した予備校生時代の思いにある。結局、大学進学を断念し、20歳でリゾート会員権の販売会社に入社。山口恭一氏はここで抜群の営業成績を上げた。
「飛び込みセールスで、しかも同じ人に2度は買ってもらえない商品。苦労しながら、営業の理論と実際を学んだ。営業に学校はないから、20歳には20歳の、40歳には40歳の売り方がある」
早くも次のステップである独立創業への模索を始める。会員権販売に未練はなかった。着目したのはクリーンビジネス。『汚れる仕事はすたれない』という言葉を聞いたからだ。
「25歳で最初に創業したのは出張クリーニングの店。学生2人を使って、店舗のインテリアクリーニングやハウスクリーニングを引き受ける。同業者もいなかったから、もうかりましたよ」
直ちに代理店制を導入、営業網作りに入った。この事業も最盛期には150店規模に広げた。しかし山口恭一氏が狙いを定めたのは、米国からの革新的なクリーンビジネスの導入だ。その第1号が外壁を清掃して保全する『スパークル・ウォッシュ』だった。
「スパークル・ウォッシュは89年にフランチャイズチェーン(FC)展開を開始したが、その何年も前からいろいろな事業を研究していた。出会いから事業を世に出すまで、3年から5年はかかるからね」
先ごろスタートした浴室再生の『バスタブ・ドクター』まで、1年から1年半に1つのペースで新しい事業を始めている。こうしたビジネスのタネは、すべて米国にある。
「日本人は創造性に乏しいから、本当に新しい事業を自分で興すのは無理だと思っている。それよりも米国には学ぶべき事業がたくさんある。当社は代理人や既存の取引先からいろいろな情報が入ってくる」
「米国の情報を自分の力で取れる中小企業は、ありそうでない。カネとヒマを惜しんでいるからだ。ゴルフに毎年50日行く人はいても、米国に10日行く人はほとんどないだろう」
いま、同社の看板は『クリーンビジネスのフランチャイズのデパート』だ。次々とFCを展開する背後には山口恭一氏の経営理念がある。
「目標はズバリ、起業家を育て続けること。寄らば大樹の陰で大企業に入る人を少なくすることだ。多くの人に当社のFCになってもらって、経営の面白さを知ってもらいたい」
FC全体で50億円の売り上げを確保。クリーンビジネス以外でも新規事業の準備を進めている。自社を大企業にするのではなく、1人でも多くの仲間を増やしたいと山口恭一氏は訴える。
(加藤 正史)

 

産経新聞 平成7年(1995)7.14[金]

バスリフォームで米社から技術導入 トータルサービス
バスタブ1個の再生価格は9万8000円 全国でFC展開へ

現在リフォーム産業は8兆円規模といわれている。とくにリフォームの中に占める水回り関係は約50%だが、費用や工事期間の面で、“高コスト、長期間”とネックは大きい。今回のトータル・サービス社の“バスタブドクター”システムは、短期間工事、低価格が特徴だ。
ビル外装メンテナンスのトータルサービス(本社・東京都新宿区、山口恭一社長)は、このほどワールド・ワイド・リフィニッシング・システム社(アメリカ・テキサス州ウエイコ、ロバート・タンマイヤー社長)と業務提携。バスタブなどをリフィニッシング(カラーコーティング再生)する「バスタブドクター」事業で、FC(フランチャイズ)展開をすることになった。
「バスタブドクター」はバスルームに使われる材料の耐用年数を延ばすために素材表面にカラーコーティングを施して再生する技術で、ワールド・ワイド社の技術。

特長として
(1)1日の施工でバスタブのカラーコーティングが可能
(2)バスタブ1個の再生費用は9万8000円、バスルーム1室で約15、6万円と低価格
(3)仕上げ種類は御影石仕上げなど6種類、カラーバリエーションは100種類以上
(4)一般家庭用では、リフォーム後、3年間の保証…など。

施工工程は
(1)洗浄
(2)補修
(3)下地処理
(4)ベースコーティング
(5)トップコーティング(3回)
(6)乾燥—の9工程に分かれ、対象素材は磁器、陶器、ホーロー、スチール、FRP、木材、ガラスなど多様。

工事期間は、通常の配管工事、壁・塗装・タイル・床張り工事が不要のため、2週間程度かかる工事期間がわずか4〜5時間(補修・乾燥時間を含めると1日)で可能という。
FC展開は、全国を対象に地域本部制を導入、人口17万人単位に1社独占の形をとる。
フランチャイジーは工務店、マンション管理会社などのほか、脱サラなど幅広く対象としている。