東京スポーツ 昭和58年(1983年)3月2日

水曜日 ビルを洗って全国制覇 チェーン店70店
出張クリーニング業で年商3億円

(株)TS日本 山口恭一社長
「チェーン店の成功が、自分の利益になってかえってくる」という山口恭一社長

マネーハンター

人のいやがる、汚れる仕事をやっているうちは、会社は絶対に潰れない――の信念で始めた会社のクリーニング業。ビル清掃、害虫退治と人に喜ばれながら儲るんだから、こんないい商売もない。チェーン店をどんどん作り、成功するまで、完全めんどうをみる。それが必ず、自分の儲けになってかえってくる――という(株)トータルサービスの山口恭一社長(二十七歳)の会社をのぞいてみた。

信念

ビル、マンションはもちろんのこと、一般家庭、商店の清掃を一手に引き受けちゃう、というのが全国に七十余のチェーン店を持つトータルサービスだ。
小さなものはジュウタンから、大きなものはビルまで、電話一本で出張クリーニングしてしまう。
東京新宿にある(株)トータルサービスの山口恭一社長は、二十七歳。「汚れる仕事は潰れない」という先輩の助言から、クリーニング業(ビルなどの)会社を設立した。
同社は大きく分けると二つの仕事を行っている。一つは、自分達社員が直接、出かけてクリーニングをしたり、害虫の駆除だ。
もう一つは、それらに必要な器具、洗剤などの卸である。
「現在、正社員は十四人、これにアルバイトが十人前後、この人たちは新宿・歌舞伎町界わいの商店やビルの出張クリーニングを行っています。全国のチェーン店に出張指導に行きます。ふつう清掃用器具の卸は、売るだけ、とか、リースがほとんどですが、うちの場合は、“器具を売る”だけでなく、チェーン店が安定し、商売が出来るまで、めんどうもみる、というのが自慢できるのです」と山口恭一社長。

ゆめ

そのためにはチェーン店に対しての指導が、微に入り細にうがって行われる。北海道から沖縄までも飛んでいき、クリーニングのノウハウを教えるのだ。全国から講習を受けに来たときは、新宿・歌舞伎町に出陣、現場を手伝ってもらいながらの実習をする。三か月から半年くらいで安定した収益を得るようにさせる。そして、そこへアフタ商品を流し“儲けちゃう”という。
つまり、会員業社の成功がカギということになる。
「ふつう開業するには最低、百五十から二百万の資金は必要だ。うちの場合、頭なしのローンで機材販売してあげる。月、わずかの返済で会員は楽に収益を上げていきます。そうすることで、うちが儲る」(山口恭一社長)。
山口恭一社長は仙台一高卒業後、東大を目指して頑張った。が、二度失敗して、ついに東大を断念し、レジャー会員権販売会社に勤務、当時は年収千二~三百万の高級取りだったが、事業欲にかられトータルサービスを設立した。
「早く事業を部下に任せ、私は流通業に参入するのが夢です」とますます盛んだ。