愛s アイズ MAR 1993

特集 FCビジネスはアイデアで勝負

日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の調べによると、昨年度のFC(フランチャイズチェーン)ビジネスの総売上高は10兆円の大台を突破した。全国の確認チェーン数は688チェーンで、FC総店舗数は13万144店。FCビジネスの躍進は著しい。なかでも最近は、ニューサービス分野で新業態を開発し急成長するFCの姿が目立つ。FCビジネスの最近の傾向を取材しながら、中小企業の今後の生き残り策を探った——。

躍進する(株)トータル・サービス
クリーンビジネスのFCで年商10億円に

人のいやがるクリーンビジネスでFCを展開し、創業わずか11年で年商10億円、グループ年商36億円の企業に躍進した(株)トータル・サービス。ニッチ(すき間)をついて成功したアイデアFCビジネスの典型例だ。創業者の山口恭一社長(37歳)に、成功の秘訣を聞く。

東京ドームを丸ごと掃除

——東京ドームのトラス構造部分の掃除を手掛けるなど、外壁クリーニングのFC(フランチャイズ)展開で急成長を遂げておられますが、加盟店数はどのくらいになりましたか。

山口恭一
設備資金として3000〜6000万円、人数も規模によって3〜10人必要なので、加盟店はすべて法人で、現在58社になりました。
当面は75社が目標です。他にハウスクリーニング120店、ウッドクリーニング70店、平成4年からは天井・内壁クリーニング、ブラインドクリーニングのFC展開を始めています。

——外壁クリーニングのFCをお始めになったきっかけは何だったのですか。

山口恭一
そもそも私は「経営者になりたい」という強烈な思いと、「汚れる商売はすたりがない」という先輩の一言から、昭和55年、25歳の時にクリーンビジネスの世界に飛び込んだわけです。そんなわけですから、とりあえず最初はビルメンテナンス会社のやらない、小回りの利く商店街の掃除から入らざるを得なかった。
その後、引っ越し時の大掃除、カークリーニング、害虫駆除とアイテムを増やし、一方で、技術、営業、管理、などのマニュアルをそろえて、本格的にFC展開を始めたのが昭和60年後半ですか。で、その間、アメリカのクリーンビジネスとFCの調査も行っていたわけです。

——その調査の網に外壁クリーニングが引っかかった、と。

山口恭一
ええ。結局、アメリカにあって、しかもすでに市場を形成していながら日本にないもの、それが外壁クリーニングだった。そこで、平成元年、外壁クリーニングに的を絞り込んで、アメリカ中の企業を回って調査した結果、スパークル・インターナショナル社との業務提携を決めたわけです。

——その決め手になったものは何ですか。

山口恭一
30年近い歴史に裏付けられた実績ですね。とくに失敗事例をたくさん扱っていましたので、同じ過ちを繰り返さなくてすむと思いましたしね。そして翌年、日本でFC展開を始めることになったんです。

システムは米国から導入

——御社のFC展開について具体的に教えていただけますか。

山口恭一
FCというのは、①システム、②ブランド、③エリア、④モノという4つの要素が統一されていなければなりません。

——どの店でも同じサービスが受けられるということですね。

山口恭一
当社でいえば、システムというのは、外壁クリーニングの人材募集・教育、営業関係、工事関係のノウハウですね。ブランドについては、先ほど言いましたように、アメリカで30年近い伝統を持ち、普及している「スパークルウォッシュ」という名がある。また、キーホルダーや時計、ウインドブレーカー、チョコレートといったグッズもあります。
エリアについては、10年契約の1エリア1社制をとっていて、50万人未満のエリアで、洗浄システムを搭載したスパークルウォッシュカー1台からスタートできることになっています。④のモノについても、スパークルウォッシュという3種類の特許を持つ洗浄マシーンシステムがあるわけです。
まあ、結局は郷に入りては郷に従えで、アメリカで成功したFCをそのまま日本に持ち込んで、そっくり事業展開したということです。で、実践を繰り返した後で初めて、日本流に工夫をしていったんですよ。

本部と加盟店は利益共同体

——なるほど、そうしますとFCを成功させるポイントは、先にあげた4つの要素が明確になっていることといえますね。

山口恭一
そうですね。それと、FC本部とフランチャイジー(加盟店)は、利益共同体でなければならないということです。
つまり、まずFC本部は何で儲けるのかというと、加盟店に卸す商品とロイヤリティです。するとそのFC本部が成り立つためには、いくつのフランチャイジーを成功させ、何%のロイヤリティがあればいいかが出てくるわけです。

——御社の場合はいかがですか。

山口恭一
当社では、車1台あたりのフラットフィーで年間120〜150万円です。簡単にいうと、加盟店の売り上げのペイラインは2000万円前後なんですが、それで6%くらい、4000万円で3%、8000万円で1.5%ということになります。フラットフィーというのは、売り上げを上げれば上げるほど自分の利益になります。

——一方、失敗したら、そのエリアではイメージが落ち、お客様を失ってしまう。

山口恭一
ですから、FC本部が利益を確保するためにも、また、加盟店が利益を上げるためにも、FC本部、加盟店ともに成功するために全力を尽くさざるを得ない。真剣勝負です。
そういう意味では、加盟店のオーナーの方の強い思い入れがないと、FC本部もフランチャイジーも成功しませんね。ですから、よく人には農耕型と狩猟型があるといわれますが、同じ様に、ビデオレンタルやピザの宅配をやるようなタイプのオーナーは、当社には合いませんね。

特殊メンテナンスに特化

——といいますと。

山口恭一
資本を出して、店を出し、アルバイトを雇って……、というタイプのオーナーでは合わないということです。やはり、オーナー自身のやる気ですね。
それから、車1台がフル稼働すると、年収で約1億円になるんですが、出店してその日から日銭が稼げる商売ではありません。リピ

東京ドームのトラス部梁洗浄工事

「このビジネスは景気に関係なく固定客が増えるので、堅実成長が見込める」と山口恭一社長。後ろに見える車が、トレードマークともいえるスパークルウォッシュカー。