ピッツバーグは古くから鉄鋼の町として栄えました
石炭をいっぱい使って煤煙をたくさんあげて…


建物という建物は煤で真っ黒に
なってしまったそこで我々のような
業種が誕生したのです

もちろん初めはブラシを使って
手で作業していましたけど
そんなことじゃとても汚れは落ちません


次に行ったのは砂をぶつけて洗浄する
サンド・ブラスト


しかしこれは作業員がどうしても粉を
吸い込んでしまって体に悪いので このような
ハイプレッシャーに…

そして——

次に行ったのはクリーブランドのやはり外壁洗浄ビジネスを行う
スパークル・インターナショナル社でした


我々の工法はまず全体に屋上から
水をたらして 洗剤を通りやすくします


次に お湯に溶かした弱酸性の洗剤Aを下から上に
プレッシャーで噴射し
一分以内に今度は同じくお湯状の弱アルカリ性の洗剤Bを
同様に噴射 最後にお湯を上から噴射してすすぎます


これによって外壁の素材にダメージを与えず
もともとの状態に戻すことができるのです


つまり二種類の洗剤を接触させることで起こる
化学反応によって汚れを分解する温水中和洗浄工法です


なるほど〜
石材本来の風合いや質感を損なうことなく汚れを
落としている秘訣はこれかぁ…
しかも廃液は中和されているから 環境にもダメージを与えない…

もうひとつ!
じつは秘密兵器があります
秘密兵器…


って?


ハハハッ


あれですよ
我が社特製のあの車には
ボイラーが載っていて
いつでもお湯が出せるんです


それにあのホースの先には
洗剤噴射用のガンがついていますが
これは四〇秒おきにリンス(すすぎ用のお湯)A液 B液


リンスと 出てくる液体が自動的に
切り替わるようになっているのです


日本の荒っぽい業者だと
酸性の洗剤だけを使って
石を全部白っちゃけた感じに
してしまうし 周りの植物も
枯らしてしまう


でもこの会社のやり方だと
石の自然な風合いをそのまま
保てるし 周りの街路樹や人にも
優しいんだな…

アメリカ視察はカルチャーショックの連続で
学ぶべきものはそれこそ山のようにありました


その当時の日本では
安ければ工法などなんでもいい!


という風潮が
まかり通っていたのに対し
アメリカではこんな環境に
配慮した工法が 二〇数年前から
実施されていたのです


またアメリカでは
すべてにおいて 役割分担が
明確化され バックアップや
連携も含めて 組織のシステムが
合理的に完成されていました


私はこの会社に
大変興味をひかれましたが
次のアポイントを入れていたため
またすぐニューヨークに戻りました